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噛むということの大切さ

私の店に来るお母さん方が
「このパンは、子供でも食べられますか?」
という質問をしてくる。
「食べられますよ。」
というと、指でつんつんと突いて、
「かたいねぇ。」と子供に言う。
その一方で、
「この子が朝から、パン屋さんに行くってずっと言っているんです。」
と言っていつも来てくれているお母さん。その子供は、ドイツパンが大好きらしく、ほっておいたら半分くらいもしゃもしゃ齧ってしまっていることもあるそう。
 何人かドイツパン好きになってくれた子供たちがいるのだが、その子たちに共通していえることは、歯並びがものすごくきれいということだ。歯が生えそろったばかりの子に「きれいな歯やねぇ。」
というと、喜んで
「いっ!」
と見せてくれた。
 子供は堅いものは食べないというのは親の偏った考え方ではないだそうか?柔らかいものばかり選んで与えてはいないだろうか?
 私のパンを、遠くに暮らす息子夫婦、娘夫婦に送ってくれる親御さんもいるのだが、孫も喜んで食べたといってくれる一方、孫は「堅い」と言って食べなかったといわれることもある。
 日本人は、ふわふわのものや柔らかいものを好む傾向にあると思う。たとえば肉なんかは欧米では堅い赤身が好まれるが、日本人は脂ののったやわらかい霜降りが大好きだ。
 私たちの親世代は、おやつにイリコなんかをよく齧っていたと聞いている。歯並びはしっかりと噛むことによって形成される。歯並びは運動神経や頭脳の方にも影響する。
 最近、歯科矯正をしている子供を目にすることも多いのだが、矯正で治せば良いというものでもない。小さいころから、なるべく堅いもの(よく噛まなければならないもの)を選んで与えてみてはどうだろうか。
 朝食にドイツパンを出す。これは歯に関しても非常に良い。しっかり噛むことで噛み合わせがよくなり、顎を使うので、口元もしっかりとしてくる。それに噛むということは、脳への刺激にもなり、これから授業を受けて勉強するための準備運動にもなる。
 ドイツパンは腹持ちもいいので、お昼までにお腹が空いて、授業に集中できないということも少なくなるのではないだろうか。
最近では、朝食を食べない子が多いと聞く。小さいころから朝食はしっかり食べて、しっかり授業に集中し基礎を固めておかないと、一つわからないだけで先へ進めず勉強が嫌いになってしまう。小さいころに勉強が嫌いになるということは、頭を使うことが不得意になってしまうということになると思う。その子が将来なにか大きな問題にぶち当たったときに、自分で考えることが出来ず、解決策を見いだせないことになる。話が飛躍し過ぎではないかと思われるかもしれないが、「三つ子の魂、百まで」という言葉もある。
私が思うに、頭が良いということは、「記憶力が良い」ということではなく、「自分の持っている知識と知識を結び合わせ、そこから何か新しい物事を浮かび上がらせることが出来る」という「思考力」にあると考える。
しっかり考え、答えを導き出す。このことを小さいころから自然と身につけておくと、成長して社会人になったときに、指示待ちをする人間ではなく、自ら動くことのできる人間になるのではないだろうか。